退院後の高齢者は、直ちに健康な日常生活に戻れるとは限りません。
入院中に衰えた身体機能を回復するためにはリハビリを要し、場合によっては入浴や排泄の介助が欠かせなくなるケースもあるでしょう。
罹患した疾病によっては、カテーテルやインシュリン注射のほか、喀痰吸引やストーマケアといった医療ケアが必要な高齢者も少なくありません。
そのため、高齢者の家族は、家庭で在宅介護をするか施設入居を選ぶかという選択を迫られます。
在宅介護でも、往診や訪問看護といった医療サービスや、訪問介護や訪問入浴サービスなどの介護サービスを受けられますが、施設入居より家族の負担は大きいでしょう。

ずっと在宅介護を続けて家族が疲弊してしまうことを避けるため、ショートステイのサービスを利用するという手段もあります。
短期間でも施設に入居できたら、少なくともその期間は家族が一休みできます。
また、退院後の患者の療養生活をサポートする看護専門外来を利用する選択肢もあります。
看護専門外来では、特定分野の専門的知識やスキルを身につけた看護師が、療養生活について相談に乗ったりアドバイスしてくれたりします。
一方、施設入居の場合は、家族の負担が減り、介護の専門家による快適な介護サービスを受けられます。
ただし、環境変化により認知症が進んだりせん妄状態に陥ったりするリスクがあるので注意しましょう。
認知症治療は根気が要りますが、せん妄治療は早期に施せばかなり回復します。
認知症の症状がある場合は、退院後に受けられる介護サービスをしっかり検討することがおすすめです。